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犬が突然倒れた時の対応|業界5年編集部が意識レベル判定と応急処置5手順を解説

犬が突然倒れたら、まず何をすべきか。意識レベルの3段階チェックと応急処置5手順、動物病院で伝える5項目まで、業界5年の編集部が「今の30秒で動ける判断軸」だけに絞って解説します。

うちのこ (犬) が目の前で倒れた——業界5年のわたしたち編集部から、犬が倒れた場面での対応の結論をひとつだけ。様子見できる条件はゼロ、応急処置5手順と意識レベル判定3段階を上から順に実行してください。

目次
  1. 犬が倒れた時の対応: 最初の30秒で「病院に電話」を決める
  2. 「倒れた」の3パターン分類と初動
  3. 意識レベルの簡易判定3段階チェック
  4. 応急処置5手順: 安全確保から動物病院への連絡まで
  5. 「様子見できる」ケースはゼロ: すぐ受診すべき理由
  6. 動物病院で伝える5項目テンプレ
  7. 夜間・休日に倒れた時の連絡フロー
  8. 心肺停止が疑われるとき、飼い主にできること
  9. 高齢犬・看取り期の「運ばない」という選択
  10. まとめ: 迷う時間があったら電話する
  11. 参考文献

犬が倒れた時の対応: 最初の30秒で「病院に電話」を決める

意識レベルの簡易判定3段階チェックの図解 / 犬 倒れた 対応

犬が突然倒れた時に飼い主さんが最初にすべき判断は、病名を当てることではありません。「動物病院に連絡するかどうか」を決めることです。結論から言うと、倒れた場面で様子見できる条件はゼロ、連絡が原則です。

数秒で意識が戻ってケロッとしていても、この原則は変わりません。失神は心臓や脳の基礎疾患のサインとして起きることがあり、家庭では「今回はたまたま軽かった」を判定できないからです。動物病院オウンドメディアも「意識がぼんやりしている」を、迷わず受診すべき危険な症状の1つとして単独で挙げています。

パニックの中で判断力を保つコツは3つあります。まず深呼吸を1回、時計で今の時刻を確認、そしてうちのこの周囲から危険物を離します。この3動作が意外と効きます。時刻メモは後の診療でそのまま活きますし、時計を見るために目線を1度切ることでパニックが緩みます。「何をすればいいか分からない」と感じても、この3動作だけは覚えておいてください。

本記事は「応急処置5手順 → 意識レベル判定3段階 → 受診判断」の3段階フローで整理しています。上から順にたどれば、迷う時間なく動けるはずです。倒れた原因の推測や病名の当てはめは、動物病院に任せる前提で読み進めてください。

「倒れた」の3パターン分類と初動

「倒れた」と一口に言っても、原因や状態によって初動は変わります。分類の目的は病名の断定ではなく、電話を待つ間の初動を1対1で決めることです。診断は動物病院で下されますから、飼い主さんはここでは「どのパターンか」を見極めるだけで十分です。

パターン1: 意識はあるが立てない・動けない

呼びかけには反応するのに、後ろ足が動かない・体を起こせない状態です。疼痛や骨折、椎間板のトラブルで見られることがあります。無理に立たせず、平らな板や毛布で背骨を水平に保ちながら安静に搬送するのが原則です。大型犬は特に、飼い主さん1人で抱え上げるのが難しいので、毛布担架を組んで2人がかりで運ぶ想定でいてくださいね。急な後ろ足の異変はシニア犬の椎間板ヘルニアで扱っている論点とも重なります。平常時に一度目を通しておくと、いざという時に落ち着いて動けます。

パターン2: 意識がもうろう・けいれんを伴う

白目になって手足を突っ張っている、口から泡が出ている状態です。てんかんや低血糖、中毒などで見られることがあります。この時、飼い主さんが避けたい行動が2つあります。口の中に手を入れることと、体を強く押さえつけることです。舌を噛まないようにと焦って口に手を入れると、咬傷事故のリスクが高まります。

やることは3つ。時計でけいれんの開始時刻を確認、周囲の鋭い物や段差から離す、そして落ち着いたら動画を1本撮ります。この動画は診断のヒントとして獣医師にとても価値があります。

パターン3: 完全に意識がないが呼吸はある

呼びかけにも刺激にも反応せず、胸だけが上下している状態です。心疾患や脳疾患のほか、夏場なら熱中症でも起こり得ます。首をまっすぐに整えて気道を確保し、動物病院に電話しながら搬送準備を進めます。夏場の散歩後や車内で倒れた場合は熱中症の可能性が高いです。日本気象協会推進サイトも重篤化時の症状として「虚脱・意識消失・けいれん発作」を挙げています。冷却手順の詳細はペット熱中症の緊急対応にまとめてあります。

意識レベルの簡易判定3段階チェック

意識レベルは、動物病院への電話で最初に聞かれる情報です。専門用語は要りません。次の3段階を、自分の言葉で伝えれば十分です。

段階1は「呼びかけ反応」。名前を呼んだ時に、目線がこちらに向くか、耳がピクッと動くか、しっぽが少しでも動くかを見ます。1つでも反応があれば「反応あり」と伝えます。

段階2は「痛み刺激反応」。段階1で反応がない時のみ行います。肉球の間を指でそっとつまむ、爪の付け根を軽く押すといった穏やかな刺激で、脚を引く・鳴くといった反応があるかを確認します。強く押す必要はまったくありません。

段階3は「完全無反応」。段階1にも段階2にも反応がない状態です。この時点で電話がまだつながっていなければ、迷わずかけ直します。

判定の結果は「呼びかけには反応します」「刺激には少しだけ反応します」「まったく反応がありません」の3通りで伝えれば通じます。動物病院はこの情報だけで診療室の準備を進められますから、電話口で伝えるだけで到着後の初動が早くなります。

判定でよくある勘違いを1つ。うちのこの目が半開きになっていても、呼吸をしていれば「意識なし」とは限りません。段階1〜3のチェックを実際に行ってから判断してください。逆に、目が開いていて呼吸もあるのに、名前を呼んでも耳が動かず視線も合わないなら、それは「反応なし」寄りの状態です。見た目の印象より、判定手順の結果を優先して伝えるほうが正確です。

応急処置5手順: 安全確保から動物病院への連絡まで

ここからは応急処置の5手順を順番に見ていきます。すべて動物病院に電話しながら並行して進める前提です。手順自体は難しくありません。落ち着いて上から実行してください。

手順1: 安全確保 — 危険な場所から静かに移動

まずは倒れている場所を確認します。路上、階段、水場、直射日光の下といった場所からは、可能な範囲で静かに移動させます。移動が難しい大型犬の場合は、周囲に人の目や車を近づけない工夫をします。周囲の人に一声かけて、車を止めてもらう・近づかないでもらうという協力を仰いでも大丈夫です。

手順2: 気道確保 — 首をまっすぐにして口の中を確認

うちのこの首をまっすぐに整え、口の中を見て吐物や異物がないかを確認します。舌が奥に巻き込まれていないかも見ます。吐物が口の外に見えていれば、清潔なタオルでそっと拭き取ります。ただし、無理に指を口の奥まで入れるのは咬傷事故のもとです。見える範囲だけにとどめてください。

手順3: 呼吸確認 — 胸の上下と鼻先の空気の流れを見る

10秒間、胸の上下を目で追い、鼻先に手のひらをかざして空気の流れを感じ取ります。呼吸があれば手順4へ、なければ心肺停止時の対応 (後述) に移ります。呼吸の速さや荒さも合わせてメモしておくと、電話口で伝える情報が1つ増えます。

手順4: 保温または冷却 — 状況で使い分ける

体温の扱いは、夏場の散歩後や車内など熱中症が疑われる場面と、それ以外の場面で真逆になります。熱中症疑いの場合、日本気象協会推進サイトが案内している応急処置は「涼しい場所に移す・全身に常温の水道水をかける・濡らしたタオルで包み風を送る」の3点です。

氷水や保冷剤の直接接触は末梢血管が収縮して逆効果になるため避けます。同じサイトも、急激な冷却は深部体温が下がらず高体温による臓器障害を促進すると注意喚起しています。動物病院での処置目安ですが、直腸温で39.5℃程度まで下がったら冷却をストップするというアニコム損保 (獣医師監修) の記述もあります。家庭で温度計を使いこなすのは難しいので、うちのこの動きが少し戻ってきたら冷却を控えめにする、程度の感覚で十分です。

熱中症疑いでない場面では、逆にタオルや毛布で保温します。犬の平熱は直腸温で小型犬が38.6〜39.2℃、大型犬が37.5〜38.6℃が目安と獣医師監修情報で示されています。失神や虚脱の後は体温が下がりやすいので、保温は妥当な選択です。

手順5: 動物病院に電話して指示を受けながら搬送

手順4と並行して、動物病院に電話をかけます。獣医師監修情報でも、危険な症状がある場合はすぐに動物病院に連絡し、応急処置をしながら搬送することが基本の流れとされています。到着前に電話で状況を伝えれば、点滴や気管挿管などの準備を始めてもらえます。この「到着前の1本」で診療開始までの時間が数分単位で変わります。

「様子見できる」ケースはゼロ: すぐ受診すべき理由

「うちのこの様子を家で見ていいのはどんな時ですか」という質問には、実は正解が用意されていません。倒れた場面については、様子見できる条件のリスト自体が存在しないんです。この点で本記事は、判断軸の作り方が犬の嘔吐の受診判断とは大きく異なります。犬の誤飲の受診判断とも別の切り口で読んでください。

嘔吐や誤飲は「量」「回数」「時間」「対象物」で線引きができますが、失神や虚脱は家庭では線が引けません。動物病院オウンドメディアも「意識がぼんやりしている」を、迷わず受診すべき危険な症状として単独で挙げています。「家族の誰が見てもぐったりしている」ような場面は、飼い主さんの直感で「これはおかしい」と感じた時点で、様子見の対象外と考えてください。

数秒で意識が戻ってケロッとしていても、繰り返しのリスクと基礎疾患を家庭では判定できません。「今回はケロッとしているから明日でも」という考えは、次の1回で状況が変わり得るので避けます。

動物病院で伝える5項目テンプレ

電話と受診の場で聞かれる情報を、5項目のテンプレにまとめました。メモやスマホのメモ帳に打ち込みながら電話をかけると、情報が抜けません。

項目1は「倒れた時刻」。時計で確認した時刻を分単位で覚えておきます。項目2は「継続時間」。倒れてから意識が戻るまでの秒数や分数、または倒れたまま今も続いているかどうかです。

項目3は「意識レベル」。先ほどの3段階判定の結果を、そのままの言葉で伝えます。項目4は「けいれんの有無」。あった場合は開始時刻と持続時間もセットで伝えます。項目5は「直前の行動と食事」。直前の散歩、遊び、食事の内容、水分、拾い食いや誤飲の心当たりまで含めます。

余裕があれば、けいれんや発作の様子を動画で1本撮っておくと、受診時にとても役立ちます。ある業界サイトも「動物病院にかかる際も診断のヒントになるので、写真に撮って獣医に見てもらうことも効果的」と案内しています。これは嘔吐物についての記述ですが、発作の動画にも同じ理屈で効きます。

もう1つ実務的なコツです。上の5項目は事前にスマホのメモ帳にテンプレとして保存しておくと、いざという時に「時刻…○○:○○、継続時間…」と打ち込むだけで済みます。混乱の中で頭から情報を絞り出すより、テンプレを埋めるほうが圧倒的に速いです。

夜間・休日に倒れた時の連絡フロー

夜間や休日にうちのこが倒れた場合、連絡の順番は次の3段で組みます。

第1に、かかりつけの動物病院に電話をかけます。休診時間帯でも留守電に夜間対応窓口の案内が入っていることが多いです。第2に、留守電で案内された地域の夜間救急動物病院に連絡します。第3に、拾い食いや観葉植物の誤食など中毒の疑いがある場合は、公益財団法人 日本中毒情報センターの中毒110番も並行して活用できます。この窓口は365日24時間、情報提供料無料でペットの誤飲事故も対象と公式に案内されていて、動物病院への連絡と並行して使うのが前提です。

「深夜に電話しては迷惑では」という遠慮は不要です。夜間救急動物病院のオウンドメディアも、翌日まで様子を見る判断が命取りになることは少なくないと書いています。深夜対応の救急動物病院に連絡して対応してもらうことが大事、というのが業界の一致した見解です。

事前準備として、平常時のうちにこの3つを紙に書き、冷蔵庫のドアや玄関に貼っておくのがおすすめです。「かかりつけ動物病院の電話番号」「地域の夜間救急動物病院の電話番号と住所」「中毒110番の番号」の3点。混乱の中で「調べてから電話」は現実的ではないので、目の届く場所に置いておくのが正解です。

もう1つ、平常時にやっておくと安心なのは「夜間救急動物病院までの車のルート確認」です。かかりつけと違って、夜間救急は少し離れた場所にあることも多いです。平日の昼間に一度、実際にそのルートを走ってみて所要時間を体で覚えておくと、当日の運転がぐっと落ち着きます。飼い主さんが1人暮らしなら、深夜のタクシー配車アプリの登録も済ませておいてください。

心肺停止が疑われるとき、飼い主にできること

呼吸がなく、呼びかけにも刺激にもまったく反応がない状態は、心肺停止の可能性があります。ここでの飼い主さんの動きは、獣医療の救急手技を自己流で行うことではありません。

心臓マッサージなどの胸骨圧迫は本来、獣医療で行う救急処置です。犬種と体格で圧迫する場所も強さも変わりますし、自己流で行うと肋骨骨折など二次的なリスクも伴います。したがってこの場面で優先すべきは、動物病院への電話1本と、指示を仰ぎながらの最速搬送です。

搬送中に飼い主さんができることは、気道確保の維持と体温の保持です。首をまっすぐに整えたまま、体を毛布で包んで移動します。運転できる家族がその場にいなければ、迷わずタクシーを呼びます。動物病院への電話で「心肺停止の可能性があるので今からタクシーで向かいます」とだけ伝えれば、到着後の受け入れが最速で回ります。夜間救急動物病院に到着したら、その場で速やかにスタッフに引き渡してください。

心肺停止の疑いは、飼い主さんにとって一番怖い場面です。だからこそ、自己流の胸骨圧迫で消耗するよりも、最短で獣医療につなぐことに全リソースを振ってください。これが、この場面で飼い主さんの取れる最善の一手です。

高齢犬・看取り期の「運ばない」という選択

ここまでは「まず動物病院に連絡・搬送」を前提に整理してきましたが、例外があります。末期の看取りフェーズにいて、家族と獣医師の間で事前に合意 (ACP、アドバンス・ケア・プランニング) ができている高齢犬の場合です。

緩和ケアは、治療不可能で生命を脅かす状態の犬を可能な限り快適にし、生活の質 (QOL) を向上・維持する獣医療とされています。この枠組みの中で、かかりつけ獣医師と家族が「もう病院には運ばない、家で看取る」を事前に合意している場合には、倒れた場面で搬送しない選択が成立します。

大切なのは、この話し合いを元気なうちに済ませておく、この1点です。倒れた瞬間に初めて迷うのは、飼い主さんにとってもうちのこにとってもつらい判断になります。看取り期の判断軸と話し合いの進め方は、シニア犬の看取りで扱っています。

なお、看取り期であっても、いつもと違う急変が起きた場面では、事前合意の枠組みの中でかかりつけ獣医師に電話し状況を共有する余地があります。「運ばない」選択と「連絡しない」選択は別物、と押さえておいてください。

まとめ: 迷う時間があったら電話する

応急処置5手順: 安全確保から動物病院への連絡までの図解 / 犬 倒れた 対応

犬が倒れた時の対応は、応急処置5手順、意識レベル判定3段階、受診時に伝える5項目、この3つのテンプレに落とし込めます。様子見できる条件はゼロ、迷う時間があったら動物病院に電話する、これが唯一の原則です。

平常時の今日、うちのこ用にできることが1つあります。かかりつけと夜間救急、中毒110番の連絡先を紙に書いて、冷蔵庫のドアに貼ってください。準備しておくだけで、いざという時の最初の30秒が変わります。

もし今、うちのこがすでに倒れている飼い主さんへ。この記事を閉じて、電話をかけてください。判断はすべて動物病院と一緒に行うもの、と割り切って大丈夫です。うちのこのために、迷う時間を電話1本に置き換えてあげてくださいね。

参考文献

本記事は 2026-08-04 時点で以下を確認して執筆しました。

専門メディア (獣医師監修・専門ライター)

飼い主体験談 (事例参考)

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